答えのあとの二秒を、誰も待てない
第三章には、受講生が毎期そろって「いちばん嫌だった」と言う実習があります。相手が話し終えたあと、二秒だけ何もしない。それだけです。
初回でできる人は、ほとんどいません。
なぜ永遠に感じるのか
沈黙が続いていることを知っているのが、その場で自分ひとりだからです。こちらは緊張で計っていますが、相手にとっては考えの途中の普通の間でしかありません。ついさっきまで自分が喋っていたので、頭のなかではまだ話が続いています。
こちらには空白でも、相手には余白です。
沈黙のかわりに何をしてしまうか
- 次の質問を出す。たいてい二重質問になります。別の回で扱っています。
- 相槌を打つ。「なるほど」「たしかに」。相手には話が終わった合図に聞こえます。
- 答えを要約する。まとめると仕事をした気になりますが、相手がまだ言っていなかったことを言う機会を奪います。
ひとりで練習する方法
知っている人と話すところを録音し、手元に「待つ」とだけ書いた紙を置いておきます。相手が話し終えたらその字を見て、二つ数えてから口を開く。
あとで録音を聞くと、体感より短いことに驚きます。受講生の場合、「永遠に思えた」間が実測で一・二秒だったという例がいちばん多いです。
効かない場面もあります
相手が一言で答えてこちらを見ているときは、待っても何も起きません。その答えは終わっています。効くのは、何かを説明していて途中で切れた長めの答えのあと。この違いは何度か録ってみないとわかりません。